【栽培の基本】家庭菜園をはじめる前に知っておくべき土・肥料・水のノウハウを初心者向けにまとめてみた

【栽培の基本】家庭菜園をはじめる前に知っておくべき土・肥料・水のノウハウを初心者向けにまとめてみた

家庭菜園をはじめてみたいけど、栽培の経験や知識がなく、

  • ちゃんと育てられるか不安…
  • 最低限必要な知識は何?

こんなお悩みはありませんか?

家庭菜園をはじめてみたものの、失敗される方は多くおられます。

タキイ種苗株式会社のデータを引用すると、失敗された内容は以下のとおり。

  1. 虫に食害を受け、収穫できなかった(35.7%)
  2. 種まき、植え付けの時期を間違えた(26.0%)
  3. 土づくりに失敗した(24.3%)
  4. (畑やプランターなどの)場所選びに失敗した(20.0%)
  5. 水をやり過ぎた(19.0%)

これらは集約すると、生育不良や病害虫にやられてしまうケースに該当します。

こるきち
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「もっと知識を付けておけばよかった…」という方は数多くおられます。

そこでこの記事では、これから家庭菜園をはじめる方に向けて、少しでも失敗する確率を減らせるよう基本的な栽培ノウハウをまとめました。

「土」「肥料」「水」のことを中心に“最低限知っておくべき知識”を解説しています。

わたし自身は現在、脱サラ就農を目指して週末は農家さんのもとで修業中であり、ベランダにて家庭菜園も実践中。

こるきち
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初心者にありがちな勘違いや、疑問・悩みもわかるため、記事内容も咀嚼しやすい内容にしました。

できるだけ栽培を失敗せずに進めたい方はご高覧ください。

土の基本

水耕栽培といった水と肥料だけで育てる方法もありますが、基本的に土を使った土耕栽培をされる方が大半を占めるでしょう。

つまり、作物を育てるには、土づくりと根拠になる「土の知識」が土台になるということです。

こるきち
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「物理的」観点と「化学的」観点、両方の話をまとめましたので、どちらもおさえておきましょう。

おさえておくべきポイントは以下です。

  • 大事な物理的指標は「排水性」「保水性」「通気性」の高さ
  • 大事な化学的指標はpH6.0~6.5「弱酸性」の土壌
こるきち
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プランター栽培なら市販の「培養土」を購入するのが一案です。土の学習工程をショートカットすることもできるので。

培養土(ばいようど)
堆肥などの有機物や肥料、複数の土が組み合わされている土のこと。
すでに栄養分が注入されているため、土づくりする手間が省けます。
販売価格は10kgや20kgが数百円程度と、それほどコストもかかりません。

大事な物理的指標は「排水性」「保水性」「通気性」の高さ

土には様々な状態があります。

  • 粒の細かいドロドロの「粘土質」
  • 粒の粗いサラサラの「砂質」

良し悪しはあるものの、基本的にどちらかに偏った土は作物栽培に不適合です。

こるきち
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粘土質は湿気が溜まりやすく腐りやすい、砂質は水分も肥料分も抜けやすいからです。

粘土質砂質
粒子サイズ0.002mm以下0.05〜2mm
排水性
通気性
保水性
保肥力
排水性と通気性が悪い土
水はけの悪い土は根腐れを起こしやすくなり、風通しの悪い土は作物に酸素を供給できなくなります。
(病気になりやすく窒息しやすい状態ということ)
保水性の悪い土
水はけが良すぎて、水分や肥料分が作物に吸収されにくくなります。
(萎れやすく枯れやすい状態ということ)

土の状態を確認する方法

土の状態は少し湿らせた状態で握ってテストしてみましょう。

こるきち
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理想の土の状態は、握ると固まり、指で押すと崩れる状態です。

偏った土の対策

ドロドロやサラサラといった偏りのある土に対しては、以下のような対策をしましょう。

粘土質(ドロドロ)の土の場合
・砂や腐葉土を足す
・高畝にして日当たり面積を増やす
・排水溝を掘る
砂質(サラサラ)の土の場合
・堆肥や粘土質(赤玉土や黒土)を足す
・深めに耕うんする(深層部の水分を含んだ土を掘り起こす)

大事な化学的指標はpH6.0~6.5の「弱酸性」の土壌

pHとは土壌中の水素イオン濃度を指す指標のことで、数値が小さいほど酸性、大きいほどアルカリ性になります。

こるきち
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pHは7.0が基準値(中性)となり、それよりも少し低い6.0~6.5弱酸性の土壌が作物を育てる適性値とされています。

基本的に雨が降る限り、土壌は酸性に傾きやすいことも覚えておきましょう。

pH葉茎菜類果菜類・豆類根菜類
6.5~7.0ほうれん草
6.0~7.0キャベツ
アスパラガス
エンドウ
トマト
大根
6.0~6.5カリフラワー
ブロッコリー
白菜
小松菜
チンゲンサイ
春菊(菊菜)
レタス
セロリ
ニラ
ねぎ
ナス
ピーマン
かぼちゃ
きゅうり
メロン
スイカ
スイートコーン
インゲン
枝豆
里芋
5.5~6.5いちご
落花生
カブ
ゴボウ
玉ねぎ
人参
5.5~6.0サツマイモ
山芋
5.0~6.5じゃがいも
作物別pH適性値

pHの測定方法の参考動画はこちら

酸性(pHが低)すぎる弊害と対策

pHが極端に低い、つまり酸性すぎると、リン酸や鉄などの吸収が阻害されます。

こるきち
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リン酸は”実の成長”を促し、鉄は”光合成”に必要な葉緑素をつくる働きをするため、無いと生育不良を起こします。

pHが低(酸性)すぎる場合の対策
石灰を投入することでアルカリ性に誘引できます。
消石灰、生石灰=投入後2~3週間は馴染ませる期間が必要
苦土石灰=投入後1~2週間は馴染ませる期間が必要

アルカリ性(pHが高)すぎる弊害と対策

pHが極端に高い、つまりアルカリ性すぎると、マグネシウムやカルシウムなどの吸収が阻害されます。

マグネシウムは”光合成”に必要な葉緑素をつくる働きを促し、カルシウムは植物が成長するときの細胞をつくる働きを活発化させるため、無いと障害を起こしやすくなります。

こるきち
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トマトやピーマンの尻ぐされなどは、典型的なカルシウム不足の症状です。

pHが高(アルカリ性)すぎる場合の対策
硫黄硫安を投入することで酸性に誘引できます。
硫黄=投入後数週間から数ヶ月ほどでpHが変化する
硫安=投入後数日~数週間で効果が表れる
もしくは放置しておくのも一手。(雨が降る以上、酸性に傾きやすい傾向にあるため)

肥料の基本

作物を育てるために必要な肥料分。

最初は何を入れたらいいのかわからない方が多数を占めるため、ここでは以下の内容に絞って解説いたします。

  1. 肥料6大栄養素について
  2. 有機肥料と化成肥料の違い
  3. 元肥(もとごえ)と追肥(ついひ)

肥料6大栄養素について

肥料の主要栄養素としては以下の6つが挙げられます。

  1. 窒素 (N)
  2. リン酸 (P)
  3. カリウム (K)
  4. カルシウム (Ca)
  5. マグネシウム (Mg)
  6. 硫黄 (S)

中でも、窒素」「リン酸」「カリ」が3大栄養素として挙げられるほど、重要な栄養素になります。

こるきち
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ちなみに肥料のパッケージに「〇:〇:〇」と記載されているのは、3大栄養素の成分量です。ここを見て判断できるようになれば脱初心者です。

栄養素主な役割不足するとどうなる?
窒素 (N)葉茎を成長させる葉が成長できず、光合成もしにくくなる
リン酸 (P)実を成長させる実の成熟や成長を遅らせ、収量や品質の低下につながる
カリウム (K)根や茎を成長させる根を弱くし、病気にかかりやすくなる
カルシウム (Ca)植物(細胞壁)を丈夫にする細胞が作られず、枯れたり腐敗する
マグネシウム (Mg)葉緑素を増やし、光合成を活性化させる葉が黄色くなり、成長不良が起こる
硫黄 (S)植物の代謝を良くする病害虫にかかりやすくなる
作物別pH適性値

ここでは3大栄養素(窒素・リン酸・カリウム)について少し触れておきます。

植物は光合成をすることによって、生体に必須な有機物質をつくります。

光合成に必要なのは太陽光ですが、その太陽光たくさん受けるために葉の成長は必要不可欠。

葉の成長を促す役割を担っているのが「窒素(N)」であり、どの植物においても重要な役割を持っているということです。

こるきち
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窒素(N)は、「葉肥え」と言われており、無いと葉でつくられる養分が欠如しやすくなります。

根の成長を促進し、発芽や開花、結実を良くするのが「リン酸(P)」の役割。

水に流されにくい特徴があり、窒素やカリウムに比べて「保ち」の良い特徴もあります。

こるきち
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リン酸(P)は、「実肥え」と言われおり、不足すると実が大きくならなかったり、数が取れなくなります。

「カリウム(K)」は根の成長を促し、葉で作られた糖分が他の部分に移動することや、水分の吸収や移動することを助けます。

植物の抵抗力を高め、病害虫の侵入や感染を防ぐなど、カリウムは植物が強くなるためには欠かせません。

こるきち
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カリウム(K)は、「根肥え」と言われており、足りないと軟弱な植物になりやすくなります。

有機肥料と化成肥料の違い

初心者の方であれば、一度は疑問を持つ内容ですが、有機肥料にも化成肥料にもそれぞれ良し悪しがあります。

有機肥料化成肥料
肥料効果ゆっくり即効
土壌への影響微生物の活性化させるなど、土壌改善もおこなう直接的な栄養補給をおこない、土壌改善効果は低い
持続性高い限定的
作物品質自然循環型のため、風味・旨みが向上化学的な味(エグ味)がしやすい
栽培に対する影響生育コントロールが難しく、臭いもキツめ生育コントロールが容易で収量が安定しやすい
コスト高価安価

大きな違いは「分解」する工程の有無です。

分解とは
簡単に言うと、食べて消化して排泄すること。(人間でいうウンチ)
身体の中で別の物質を生成して体外へ排出することを指します。

有機肥料は土壌に生息する微生物が”分解”してから肥料として効き始めますが、化成肥料は植物に対して直接的に効きます。

こるきち
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有機肥料は分解工程がある分、生育に時間がかかるということ。

有機肥料はじっくり時間をかけて育つ分、植物や土壌(環境)への負担は少なくなります。

一方で大量栽培・大量収穫を目指す大規模農家には不向きな方法と言えるでしょう。

有機肥料は天然素材であるため、不自然なスピードで成長することがなく、作物への負担は少ない優位性があります。

対して化成肥料は化学的に生まれた肥料のため、成分に深みはありません。

こるきち
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余分な成分が入っていないため、生育をコントロールしやすいのは化成肥料ですが、自然な野菜が育つのは有機肥料ということ。

コスト観点で見ると、化成肥料のほうが安価なケースが多く、有機肥料は少々割高な栽培方法になりがちです。

ただし有機肥料の代表でもある「牛ふん」や「鶏ふん」は、行き場を探している「産業廃棄物」だと主張されている農家もおられます。(モノは捉えようですね)

元肥(もとごえ)と追肥(ついひ)

元肥は、野菜を植え付けたり、種をまいたりする前に、あらかじめ土に施しておく肥料のことです。

野菜の生育期間を通じて、土壌から継続的に栄養が供給されるように、土台となる栄養分を準備する目的で与えます。

こるきち
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例えるなら元肥は、赤ちゃんが生まれてから成長するために必要な栄養を、お母さんがあらかじめ体内に蓄えておくようなもの。

植物が根を張り、最初の芽を出すために必要なエネルギー源となります。

元肥に適している肥料
堆肥、腐葉土、油かす、鶏糞などの有機肥料
土壌改良効果も高く、緩やかに栄養を供給するためです。
(じっくり効く化成肥料も適性あり)
こるきち
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元肥はじっくり土壌改良をおこなうため、作物を植える1~2週間前には準備しておきましょう。

追肥は、野菜が成長している途中に、生育の段階や状態に合わせて追加で与える肥料のこと。

元肥だけでは足りなくなった栄養を補給したり、特定の成長段階(葉を茂らせたい、花を咲かせたい、実を大きくしたいなど)で必要となる栄養分をピンポイントで与える目的で施します。

こるきち
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例えるなら追肥は、スポーツ選手が試合中にエネルギー切れを起こさないよう、休憩中に栄養ドリンクを補給するようなモノです。

追肥に適している肥料
即効性の化成肥料が有効。(粒状、液体どちらでもOK)
水溶性で素早く栄養が吸収されるため、急な栄養補給に最適です。
(有機肥料なら、栄養価の高い油かすや鶏糞も適性あり)
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ただし追肥は、やり過ぎると病害虫に弱くなるため、肥料不足の症状が確認できてから施すなど最小限にとどめておきましょう。

水やりの考え方

野菜にとって水は、人間にとっての血液のようなもので、以下のような働きがあります。

  • 養分の運搬
  • 光合成の促進(水がないとできない)
  • 体温調節(蒸散させて熱を逃がしている)
  • 形状保持(水分で茎葉がシャキッとする)

水が不足すれば、栄養が行き届かず、光合成も滞り、やがてしおれて枯れてしまいます。

こるきち
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カルシウム不足症状(トマトで言う尻ぐされ)なども、カルシウムが不足しているわけではなく、水が不足しているから養分が運ばれていないケースも多々あります。

逆に水のやり過ぎにも要注意。

こるきち
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水をやり過ぎると根腐れを起こし、根が呼吸できなくなり、これもまた枯れる原因となります。

覚えておくべき水やりの基本ルールは以下です。

  1. 土の表面が“乾いたら”与える
  2. “たっぷり”株元に与える
  3. 基本は“朝”に与える

土の表面が“乾いたら”与える

毎日水をあげるルーティンではなく、「土の状態を見てから」が重要です。

こるきち
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土の表面が乾いて色が変わったり、指を2〜3cm差し込んでみて湿り気を感じなくなったら水を与えましょう。

晴れの日は乾きが速いため、こまめな確認が必要ですが、雨の日は基本的には不要です。

雨が降る予報であれば、直前の水やりは控えめにしておきましょう。

重要度代表例特性
葉物野菜★★★ホウレンソウ、レタスなど水分を多く含むため、水枯れに要注意
実物野菜★★トマト、ナス、キュウリなど開花から結実期にかけては、多くの水を必要とする
根菜類★ダイコン、ニンジンなどある程度の乾燥は許容(ただし極端な乾燥状態に急な水やりはNG)
作物別の水やり重要度

トマトであれば、わざと水を少なくして実を甘くする方法もありますが、上級者向けの手法です。

こるきち
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基本的に「葉物野菜」や「実物野菜」は、水切れに注意が必要ということを覚えておきましょう。

“たっぷり”株元に与える

少量ずつちょこちょこ水を与えるのはNG。土の表面だけが濡れて、肝心の根の先端まで水が届かないからです。

プランター栽培であれば、「鉢底から水が流れ出るまで」が目安です。

こるきち
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特に苗を植えた直後は、根が活着するまで(おおよそ1週間くらい)積極的に水を与えましょう。

活着とは
根が植えた場所に、馴染んで成長すること。
根がしっかり活着すれば、生育不良が起こりにくくなります。
上手く活着しない要因は「乾燥」が起因するケースが目立ちます。

また水は、葉ではなく、株元(かぶもと)の”土”に与えましょう。

こるきち
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葉に水が当たり過ぎると、病気の原因や、(水がレンズ効果となり日当たりで)葉が焼ける原因になります。

基本は“朝”に与える

水は基本的に、朝に与えましょう。

こるきち
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 気温の高い日中に水を与えると、土中の水温が急上昇し、根を傷める可能性があるからです。

また、夕方などに水を与えることも、おすすめしません。

こるきち
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夕方に水やりすると、夜間に濡れたままになり、病原菌が発生しやすくなるからです。

栽培前におさえておくべきポイント

ここからは栽培に失敗する確率を減らせるよう、おさえておくべきポイントについて解説します。

わたしが実際に「感じたこと」や「勉強したこと」をベースにお話ししますので、失敗予防になるでしょう。

  1. 栽培環境は「日当たり」と「風とおし」が重要
  2. 水・肥料のやり過ぎは病害虫発生のもと
  3. 茎葉は人間の皮膚と同義(可能な限り傷つけないこと)
  4. 間引き(芽かき)は生育上の重要作業
  5. 害虫と益虫
  6. 連作障害(同じ科の植物の連続栽培はNG)について

栽培環境は「日当たり」と「風とおし」が重要

植物にとって一番重要なのは「日光」です。

日光がないと光合成ができなくなるため、成長できません。

こるきち
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野菜のほとんどは、1日に6時間以上の日照が必要と言われています。

「風とおし」についても意識しておきましょう。

こるきち
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植物はずっと水分が欲しいわけではありません。人間と同様に呼吸をしており、それなりに酸素も必要です。

また湿った状態が長続きすればするほど、病原菌も繁殖しやすくもなるため、適度な乾燥が求められます。

水・肥料のやり過ぎは病害虫発生のもと

水・肥料は植物の生育上必須ですが、与えすぎには要注意。

肥料を与えすぎると、土中の肥料成分が高濃度になり、根から水分が奪われることがあります。これにより根が枯れてしまい、地上部の葉も黄色くなって萎れる症状(肥料焼け)を引き起こします。

肥料焼けを起こさなくとも徒長してしまう可能性も高くなるため、病害虫にかかりやくすなるでしょう。

徒長(とちょう)
植物が間伸びする症状。
間伸びするということは細胞壁も伸びて、傷みやすい状態になるということ。
一見大きく見えますが、軟弱な体質になります。

また水のやりすぎも、根腐れを起こす要因となるためNGです。

こるきち
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根腐れを起こすと、うまく栄養分を葉や実に運べず、病気に弱い身体になってしまいます。

湿気を好む害虫が寄ってくる原因にもなるため、水の与えすぎには注意しましょう。(基本的には土が乾いてからでOK)

ちなみに、わたしの場合は液肥を与えるときに、葉に液肥があたってしまい肥料焼けを起こしました。(哀)

液肥を与えたときは、(液肥を洗い流す意味で)上から散水することをおすすめします。

茎葉は人間の皮膚と同義(可能な限り傷つけないこと)

茎や葉は丁寧に扱いましょう。

こるきち
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傷をつけてしまうと、そこから菌が入り病気にかかってしまう恐れが高まります。

後述しますが、仮に傷つけてしまった場合は、湿気を極力あたえないようにしましょう。

人間の皮膚と同様に熟した状態が長続きすれば、その分回復も遅れ、病気にかかりやすくなります。

間引き(芽かき)は生育上の重要作業

栽培の過程において、わざと芽や葉を取ることがあります。

これは必要な部分(収穫する実など)に必要な栄養分を供給するためで、「芽かき」や「間引き」と言われています。

こるきち
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たとえばトマトやナスであれば、欲しいのは実ですよね。しっかり実に養分をいかせるために、不要な葉や茎を取り除くということです。

葉が多く(面積が多く)なれば、光合成の量も増えるため、一見良さそうに思いますが、そうではありません。

その光合成量を持ってしても、養分が行きわたりにくくなる箇所が存在するため、作物を栽培する際は芽や葉を間引く意識を持っておきましょう。

こるきち
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ちなみに脇芽取りや芽かき(間引き)を行うのは、「晴れの日」にしましょう。

湿気が多い日に傷口を付けると病気にかかるリスクが上がります。

過去にわたしは曇天時にやってしまっていましたがw

害虫と益虫

「虫」と聞くと悪いイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。

しかし、虫といえども作物に対してかならず悪さをするわけではありません。

こるきち
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作物を食い散らかし生育を阻害する虫を「害虫」、逆にその害虫を食べてくれたり、生育をサポートしてくれる虫を「益虫(えきちゅう)」と言います。

主な害虫
・アブラムシ
・アオムシ
・ヨトウムシ
・ハダニ
・カメムシ
・ナメクジ
・イモムシ

これらは基本的に葉や茎を食べ散らかして、植物に悪影響を及ぼします。
主な益虫
・テントウムシ=様々な害虫(アブラムシやコナジラミなど)を捕食
・トンボ
=害虫を捕食(蚊やハエも食べる)
・カマキリ
=害虫を捕食(益虫も食べる)
・クモ
=巣を張って害虫(アブラムシやダニなど)を捕まえ捕食
・ミツバチ
=花粉を運び、野菜の受粉を助ける

特にテントウムシの幼虫は、たくさんの害虫を食べてくれるなど益虫として有名です。(見た目は害虫っぽいですが、殺してしまわないように)

こるきち
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ちなみに「テントウムシダマシ」という偽物(害虫)も存在します。(こちらは草食なので容赦なく殺生しましょうw)

そして勉強しているうちに、わたしは気付きました。ゴキブリが益虫であることをw(肉食ですからね)

益虫を誤って殺さないように注意しておきましょう。

連作障害(同じ科の植物の連続栽培はNG)について

農家の方やすでに家庭菜園を実践されている方であれば、当たり前のことかもしれませんが、同じ場所(土壌)で同じ作物を連続栽培するのは基本的にNGです。

連作障害を起こす可能性が高くなるからです。

連作障害とは
同じ場所(土壌)で同じ作物を育てることで、生育不良を起こす現象のこと。
作物ごとに必要な栄養素の量が異なるため、同じ作物を連続して栽培すると特定の栄養素がどんどん抜けていきます。
したがって栄養バランスの崩れた土壌になり、病害虫にかかりやすくなったりします。
こるきち
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人間と同じで、偏ったモノばかり食べる(栽培する)と不健康になるということですね。

連作障害への対策方法は以下です。

連作障害の対策
・違う科の植物を植える(ローテーションさせる)
・有機物を投入
・コンパニオンプランツを植える
・数年間何も植えない

違う科の植物を植えるのが、一番手間がかからないと言えるでしょう。

こるきち
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たとえば、ナス科である「トマト」を育てたら、次はヒルガオ科の「サツマイモ」を、次はマメ科である「枝豆」を、次はウリ科の「きゅうり」を、といった感じに輪作(りんさく)させます。

「科」を変えるだけでも、土壌のバランスは崩れにくくなるでしょう。

有機物を入れるのも一手ですが、細かい知識が必要になるため、慣れてきてから試すほうが無難でしょう。

コンパニオンプランツを植えるのも一手です。

コンパニオンプランツとは
互いの生育を助けたり、病害虫を予防したりする効果がある植物のこと。
近くに植えることによって、それぞれの植物の相互補完をしてくれます。
(一例)
ネギ類とナス科→ネギの根圏に生息する細菌が土壌病原菌を溶解する
ニラとトマト→ニラの根に生息する根圏微生物が土壌病原菌を抑える
マリーゴールドとウリ科野菜→ウリハムシを忌避する
マリーゴールドとダイコン/トマト→センチュウを抑える

コンパニオンプランツ関連の記事はこちら

究極的にもったいないですが、数年間何も植えなければ土壌のバランスも整います。

畑作業に疲れたり、他の作業で忙しかったりするようであれば、思い切って「何もしない」という選択をしてもいいかもしれませんね。(雑草対策は必要ですが)

品目ごとの土壌休息期間
ナス科:トマト、ナス、ピーマンなど:3~4年
ウリ科:キュウリ、スイカ、カボチャなど:2~3年
アブラナ科:キャベツ、ハクサイ、レタスなど:1~2年
豆科:ソラマメ、エンドウなど:3~4年
ショウガ科:ショウガ:2年
ゴボウ科:ゴボウ:5~6年
サトイモ科:サトイモ:3~4年
ジャガイモ:ジャガイモ:2年

初心者向けの栽培しやすい野菜

以上を踏まえたうえで、初心者におすすめの作物を紹介します。

品目生育適期特徴おすすめする理由
ラディッシュ
(二十日大根)
春秋発芽率が高い
真夏や真冬を除けば
周年栽培が可能
栽培期間が短く
少スペースでも栽培可能
(種まきから約30日で収穫可能)
ミニトマト栽培の基礎が詰まっている
たくさん取れる
病気に強い苗が販売されており
失敗しにくい
ねぎいつでも土壌消毒をしてくれる
肥料分がたくさん必要
乾燥に強く
水やり頻度が少なく済む
小松菜いつでも
(冬がメイン)
周年栽培が可能
(生育適温の幅が広い)
栽培期間が短く
手間もかかりにくい
(種まきから1ヶ月程度で収穫可能)
オクラ寒さに弱い
(10℃以下で生育ストップ)
暑さにめっぽう強く育てやすい
(真夏を乗り越えられる)
作物別の水やり重要度

ラディッシュ(二十日大根)

アブラナ科ダイコン属の根菜で、種まきから短期間(20~30日程度)で収穫できるのが特徴。

比較的涼しい気候を好み、「3月中旬~5月」や「9~10月」が栽培適期です。

こるきち
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栽培期間が短いため、追肥は不要で「元肥のみ」で収穫まで辿り着けます。

比較的害虫にも強いため、アブラムシ対策などをおこなっておけば、よほどのことがない限り、失敗することはないでしょう。

ミニトマト

栽培難易度がそれほど高くなく、たくさんの収量が取れるナス科の作物です。

典型的な夏野菜であり、栽培適期は4月~7月くらい。

こるきち
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病気に強い「接ぎ木苗」が販売されているなど、初心者でも育てやすい特徴があります。

ミニトマトを育てれば、「支柱立て」「芽かき」「受粉」など、栽培に対する基礎的なノウハウを身に付けることができるでしょう。

ねぎ

ぶっちゃけ苗を土に植えれば、基本的にほぼ放置で育つヒガンバナ科の作物です。

乾燥に強く、高頻度で水やりをする必要もありません。

こるきち
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切ってもまた生えてくるため、半永久的に収穫できるのも魅力のひとつです。

ただし肥料食い(肥料を大量に摂取する)植物のため、肥料切れには注意しておきましょう。

こるきち
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植えれば土壌消毒をしてくれる優れものでもあるため、コンパニオンプランツとして活用するのも有りです。

種からの栽培となると1年くらいかかるため、初心者は「苗」を購入して育てることをおすすめします。

また、土壌消毒はできるものの、連作障害も有り得る植物のため、半永久的に収穫できるものの、2年くらい経ったら違う場所に植え替えましょう。(ネギ農家さんから教わりました)

小松菜

耐暑性、耐寒性はともに高く、周年栽培が可能な品目です。

春まきや秋まきでは30~40日程度、夏まきでは25~30日程度、冬まきでは50~70日程度で収穫できるなど、比較的収穫までの日数がかからない点もおすすめされる理由のひとつでしょう。

こるきち
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多湿になると軟弱徒長(とちょう)しやすく、病害も発生しやすいので、それほど水やりをする必要もありません。

0℃でも枯死することがなく、害虫にさえ気をつければ、そうそう失敗はしない野菜と言えるでしょう。

オクラ

食物繊維やビタミンも豊富で「健康に良い」とされているなど、地味ながらも人気を集める野菜です。

こるきち
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暑さにめっぽう強く、肥料と水さえ与えておけば、真夏を乗り切ることができます。(35℃くらいでもへっちゃら)

ただし肥大し過ぎると硬くなって食べられなくなるため、収穫時期を逃さないよう注意しなければなりません。(実質、毎日収穫になります)

苗から育てれば2ヶ月ほど、種から育てても3ヶ月ほどで収穫できるため、比較的取り組みやすい品目ではないでしょうか。

まとめ

野菜を栽培するうえで大切なのは「環境」です。

いかに「光合成」をさせて、養分を幹部へ行きわたらせるようにするかが、成功への鍵となるでしょう。

その養分を行きわたらせるために、土や水・肥料が存在するわけです。

土壌の重要ポイント
・「排水性」「保水性」「通気性」を良くすること
・pH6.0~6.5の「弱酸性」の土壌がベター
こるきち
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土壌改良にはある程度の時間がかかるため、植え付けする数週間から1ヶ月前には準備しておきましょう。サクッとはじめたいなら「培養土」を購入しましょう。

肥料の重要ポイント
【肥料の主要3要素】
・窒素(N)=葉肥え
・リン酸(P)=実肥え
・カリウム(K)=根肥え

【肥料を与える時のポイント】
・作物ごとに適したバランスの肥料を与える
・肥料のやり過ぎは病害虫リスクを高める
・有機肥料は遅効、化成肥料は速効

植え付けする数週間前から「元肥」として有機肥料を与えてやり、栽培中は適度に化成肥料を「追肥」してあげるのが合理的とされています。

こるきち
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肥料を与えるときは肥料成分「〇(N):〇(P):〇(K)」を確認してから購入しましょう。作物に応じて適性値が違うので。

水やりの重要ポイント
肥料と同様に与えすぎには要注意。根腐れや徒長(間伸び)の原因になります。
水のやり方は、土が乾いたら、朝に、たっぷりやること。
【水分重要度】
葉物野菜★★★→足りないと生育不良を起こす
実物野菜★★→生育初期は気を遣う必要あり
根菜★→比較的乾燥に強い
こるきち
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水不足によって栄養素欠乏症(トマトのカルシウム不足)が起こることもあるので、症状が出た場合、水分不足を疑うことも念頭に置いておきましょう。

その他の重要ポイントは以下です。

  1. 茎葉は可能な限り傷つけないこと
    (傷口が多いと病気にかかりやすい)
  2. 必要に応じて芽かき(間引き)を行う
    (幹部に栄養分を集中させるため)
  3. すべての虫が害虫という訳ではない
    (益虫なら害虫を食べてくれる)
  4. 同じ科の植物の連続栽培はNG
    (連作障害を起こす可能性が高まるから)

栽培はさまざまな理論が交錯するため、頭が混乱するときもあるでしょう。

地域や環境によっても、通じる理論と通じない理論もあるでしょう。

だからまずは「やってみること」が大事です。

こるきち
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わたしも現在、試行錯誤しながら実践していますが、体験ベースで身に付けたインプットは簡単には抜けません。

最低限の知識を身に付けたら、すぐにでも始めてみましょう。

「百聞は一見に如かず」

失敗も含めて経験しないと、本当の意味では理解できません。

「絶対失敗する」という状況だけなくして、細かい失敗はどんどんしていきましょう。

本記事が栽培をはじめるキッカケや、参考になれば幸いです。

こるきち
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なお、本記事は新たに学んだことを更新していきますので、よかったらブックマークもお願いします。コメントや質問もお気軽にしてください。

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