農家と縁もゆかりもない人間が農業をするには?脱サラ就農を目指す男が取った行動の軌跡

農家と縁もゆかりもない人間が農業をするには?脱サラ就農を目指す男が取った行動の軌跡

「農業をしたいけど、何をしていいのかわからない…」

こんな感じで停滞していませんか?

農家の数は年々縮小傾向ですが、実は農業を始めたい若年層は増加傾向です。(新規雇用就農者数から引用)

出典:農林水産省
  • 前職での人間関係
  • 田舎への憧れ
  • 地元に貢献したい気持ち
  • 農産物への関心

といった理由や動機が多く見られ、2023年の基幹的農業従事者の平均年齢でもある68.7歳からの若返りが期待されています。

しかし農家と縁もゆかりもなく、農業を始めるハードルが高くなっている方も多数おられるでしょう。

そこでこの記事では、農家とは何の縁もツテもない状態から「法人農家さん」や「個人農家さん」のもとで農業を経験させていただくことができた”極普通のサラリーマン”が取った行動を紹介いたします。

こるきち
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結論から言うと、京都の農林水産業ジョブカフェへ相談に行き、後日開催されたイベントにて農家さんとのマッチングを行いました。

会社員をしながらでもできる方法ですし、京都以外の情報も掲載いたしておりますので、ぜひ参考にしてください。

自己分析を実施

転職活動に関わらず、どの行動分野においても自己分析を実施したほうが間違いが起こりにくくなります。

なぜなら多くの方は、感覚的に物事をとらえ、根拠に基づいた意思決定ができていないからです。

こるきち
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方向性がブレないように、”なぜ農業をしたいのか”「根拠」を自己分析から探しました。

実施した内容
①ストレングスファインダー
②八木仁平さんの”自己理解メソッド”
③16Personaliesの”無料性格診断テスト”

ストレングスファインダー

ストレングスファインダーとは、米国ギャラップ社の開発したオンライン「才能診断」ツールです。

Webサイト上で177個の質問に答えると、自分の才能(=強みの元)が導き出されるとのことで、多くの方が利用されています。

こるきち
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「社交性」「敏捷性」「適応性」など”34個の資質”を分析して、フィードバックをいただけます。

主な受講方法は3つ。

  • 書籍を購入し、付属のコードを利用(書籍代2,420円)
  • 公式サイトよりアクセスコードを購入
    (TOP 5の資質のみ分析→3,495円)
    (34すべての資質を分析→8,450円)
  • スマホアプリを使用(料金は同上)
こるきち
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わたしの場合は、34個の資質を調べたかったため、公式サイトより申し込みました。

ちなみに、わたしは直近実施したわけではなく、過去に実施した結果を引っ張り出してきました。

わたしの実施した結果はこちら↓↓(若い数字ほど強い資質ということ)

こるきち
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収集心であったり、着想、分析志向などが上位に位置し、「戦略的思考」が強いことがわかります。

参考がてらTOP3を以下に掲載いたします。(なんだか自分を見られているようで、恥ずかしいですがw)

こるきち
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この他、アドバイスなどもいただけており、非常に有益な内容でした。177個の質問に答えるのは少々大変でしたが、やってよかったと感じています。

公式サイトはこちら(英語なので翻訳してご利用ください)

八木仁平さんの”自己理解メソッド”

YouTube「八木仁平の自己理解チャンネル」の一部でもある以下の2つは、自身の考えや思いを言語化するのに役立ちました。

  1. 価値観が見つかる30の質問
  2. 得意・才能が見つかる30の質問
八木仁平さんとは?
累計30万部以上を売り上げた書籍”世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方”の著者で、世の中に自己理解メソッドを普及させる活動をされています。
・YouTubeチャンネル登録者数は12万人超
・Twitterフォロワー数は5万人超
YouTubeはこちら
Twitterはこちら
価値観が見つかる30の質問の一例
→「社会に対してもっと○○だったらいいのに」と思うことは何?
→死んだ後に周りの人から、どんな人だったと言われたい?
→死ぬときに「〇〇な人生で最高だった~」と言うなら〇〇に入る言葉は何?
得意・才能が見つかる30の質問の一例
→飽きずにできたことは何?
→他人に対して「なんでこんなこともできないの?」と思うことは?
→時間があっという間に過ぎることは?
こるきち
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自分自身では気付けていないことも多く、実施したおかげで、自分の「強味」や「特徴」も理解できました。

こちらはセルフチェックなので、ストレングスファインダーのようなフィードバックはありません。

第三者を交えた分析を行いたい方は、有料ですが八木仁平さんの「自己理解プログラム」を受けてみるのも一案です。

16Personaliesの”無料性格診断テスト”

16Personaliesの”無料性格診断テスト”は「無料」のストレングスファインダーに似たツール。

友人が訪ねてきてくれたときに勧められ、遊び半分で実施しました。

こるきち
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実施した結果を見たとき、あまりにもクオリティが高くて、「これが無料⁉」と衝撃を受けたことを覚えています。

ちなみに、わたしのタイプは「指揮官」でした。(どこがやねん!と思っていますw)

こるきち
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質問への回答時間はおおよそ10分なので、気軽に受けられます。無料で分析されたい方は一度やってみるといいでしょう。

16Personaliesの”無料性格診断テスト”の実施はこちら

自己分析で得られた結果

わたしの傾向としては以下のようなモノがありました。

分析から得られた「価値観」の一例
・主体性が大切(人に決めてもらう方が楽だけど人任せな人生になるほどつまらない)
・成長すること(世の中は常に変化しているため現状維持は退化と同義)
・まずは質より量(効率をもとめていいのは数をやった人間だけ)
分析から得られた「得意・才能」の一例
・感情で判断しない(ロジックや根拠をもとめる傾向)
・実験や検証を楽しめる(立てた仮説に対しての結果をもとめる気質)
・物事を整理すること(学んだことや経験したことを体系的にまとめることができる)

あくまでもこれらは一部ですが、

  • 分析思考
  • 成長という価値観を持っていること
  • 長期的にコツコツするのが得意

といった傾向が農業にマッチしており、魅力を感じた要素と判断しました。

こるきち
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また栽培ノウハウだけに留まらず、”国際競争”や”政治的な観点”から見た「多面性」も農業に興味をそそられた要因だと思います。(まだしっかりと言語化できませんが)

農業関係サイトを見漁った

情報収集の手段のひとつとして、自己分析をしながら農業に関係するサイトも見漁りました。

ここでは簡単に触れておきますが、網羅的に情報提供してくれているサイトを挙げておきます。

農林水産省ホームページ

https://www.maff.go.jp/index.html

新規就農を目指す方に年間最大150万円の給付をおこなう就農準備資金であったり、無利子で最大3,700万円の借入ができる青年等就農資金など、制度や政策情報が満載。

最新情報や役立つ外部サイトのリンクが至るところにあり、農業を始めたい人は、必ず見るべきサイトと言えるでしょう。

こるきち
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わたしの場合は、のちに相談に伺うことになる農林水産業ジョブカフェを見つけたのも、この農林水産省の一部の全国就農支援サイトリンク集でした。

各地方に設置されている「社団法人」や「支援センター」などのリンクがまとめられていますので、農業をはじめたい方は要チェック。

全国就農支援サイトリンク集はこちら

農業をはじめる.JP

https://www.be-farmer.jp

「農業研修機関」「体験サービス」「求人情報」「支援情報」など、さまざまな農業関係の情報が集まったサイトです。

こるきち
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先輩就農者の声なども掲載されており、イメージしやすくなりました。

JAグループ

https://life.ja-group.jp

知らない人はいないであろう巨大組織「農協」のサイト。

農業のノウハウはもちろん、全国に張り巡らせた様々な情報が得られます。

こるきち
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個人的にはトレンドの情報が掴みやすいと感じました。

タキイ種苗株式会社

https://www.takii.co.jp

栽培をおこなうにあたって、”必ず通るルート”と言っても過言ではないのがタキイさんのサイト。

種苗の販売をおこなっている会社だけあって、栽培ノウハウが初心者向けにわかりやすく解説されています。家庭菜園や援農などのスタートダッシュを切りたい人は要チェック。

こるきち
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見出したら止まらない中毒性のあるノウハウサイトです。わたしは夜中まで見てましたw

サカタのタネ

サカタのタネ 園芸通信

https://sakata-tsushin.com

タキイさんと同じく種苗販売を手掛ける企業のホームページ。

こちらも栽培ノウハウを中心に、野菜を使った料理のレシピまで公開されています。

こるきち
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東証プライムに上場する企業だけあって、サイトの見やすさも抜群です。

マイナビ農業

https://agri.mynavi.jp

ご存知のとおりマイナビは、就職・転職支援サービスを展開する最大手。

人材を扱う会社だけあって、農業に必要なスキルや知識、制度や求人情報に強さを発揮しています。

こるきち
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わたしもマイナビさんが主催する農業イベントに参加させていただきました。

農林水産業ジョブカフェへ相談に伺った

前述しましたとおり、農林水産省のホームページより農林水産省ジョブカフェを見つけました。

農林水産省ジョブカフェ
京都で農業の相談ができる社団法人。
就農方法のアドバイスや体験・研修施設、イベントや最新情報をいただけます。
【場所】
京都市南区東九条下殿田町70 京都テルサ3F
【相談可能日時】
火・木・土(祝日や年末年始を除く)
9~12時or13~17時の間で予約可能
詳細はこちら

とにかく情報が欲しかったわたしは電話で予約を取り、現地へ出向きます。

相談員の方より伺った内容

伺った内容は大きく分けると以下の5つ。

  1. 京都の地域別の盛んな作物
  2. 農家になるには、常識的な範囲で言うと、農業法人や農家で3~4年は修業が必要
  3. 貸農地の借り方や相場観
  4. 就農制度や補助金情報
  5. 直近のイベント(セミナー)案内
京都のエリア別栽培状況
北部に行けば行くほど、”米”や”果樹”が盛ん。
南に行けば”野菜”が盛ん。
京都の最南端だと”お茶”が盛ん。
こるきち
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北部は後継者不足が問題化しており、”果樹付き”の農地を継承できる可能性を秘めているとの情報もいただきました。

農家になるには3~4年の修業が必要
栽培技術の修得はもちろん必要として、
・農地の確保
・設備の知識向上
・販路開拓
・資金調達
・経営ノウハウの構築
など、やることはたくさんある。

また農地は借りたくても簡単に借りられないことも、教えていただけました。

普通に考えたら、見ず知らずの人に貸すわけないですしね。(信頼を構築する意味でも、一定の年数は修業が必要ということでしょう。)

こるきち
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ちなみに京都の貸農地の値段相場は1反(10a)あたり、最北端はほぼタダ、北部は年間1万円くらい、南部は年間1~5万円くらい、最南端はほぼタダといったような相場観のようです。

また青年就農準備金についても詳細に教えていただけました。

青年就農準備金について
一定の要件を満たせば、年間最大150万円の補助金を2年間受けられる制度。
【要件】
・世帯所得600万以下であること
・就農後5年以内に認定を取ること
・49歳以下であること などなど
詳細はこちら
こるきち
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農業は廃業にしてしまうと国としてもいろいろ都合が悪いため、様々な手厚い支援政策が打たれています。(ありがたや~)

「農業大学校」や「研修機関」「法人農家さん」などのパンフレットをいただきましたが、最後に「直近開催されるセミナー」についても案内をいただきました。

こるきち
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最後に案内されたセミナーこそが、今お世話になっている農家さんとの接点になりました。

就農セミナーへ参加し農家さんとコンタクトを取った

案内されたセミナーはオンライン(zoom)開催で”農業に携わりたい方”と”働き手や研修生”を募集している農家さんとのマッチングを目的としたモノでした。

流れは以下のとおり。

セミナーの流れ
→京都府農業法人経営者会議会長(法人農家の経営者でもある方)の挨拶
→各農家さんのプレゼンテーション(各5~10分程度)と質問受付
→各農家さんがzoom上で個室を準備し、気になった方が入室して質問
→双方の合意が取れたうえで連絡先を交換

会長よりお話された内容は要約すると以下のとおり。

  • 農家のもとで働くのは「農家側」「働く側」双方にとって有意義
  • 農家は基本的に人手不足で労働力が欲しい
  • 働き手は就農するための知識や経験が手に入る
  • 法人の規模は売上数千万~数十億円まで多様であり、従業員数も5~200名以上と幅広い
  • 近年では高齢化による離農に伴い、農業法人が農地を集約して地域の農業を守っている
  • 農村地域には古いルールや慣習が残っており、新規参入者には見えない障壁が存在する
  • 独立前に地域の特性(気温・気候・人口・農地状況など)を十分理解し、目標と照らし合わせる必要がある
こるきち
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新規参入者は簡単に貸農地が借りれないことも含め、「参入障壁が結構高いよ~」「農家のもとで働けば知識・経験・パイプが作れるから、そこから始めてみてはどう?」といった内容でした。

各農家さんのプレゼンを受けた所感

今回参加された農家さんは計8社。

冒頭で説明いただいたとおり、売上規模20億を超える農家さんもあれば、1,000万円程度の農家さんもあり、品目に対しても単品目を大量生産するところもあれば、60品目ほどを少量生産するところもありました。

こるきち
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給料が発生する働き方もあれば、完全に研修生(無賃)といった受け入れ方をされる農家もあり、農家ならではの多種多様性を感じました。

プレゼンの中身も、整列された数字や資料を使って流暢に説明される農家さんもいれば、熱意で押す農家さんもいるなど、まさに千差万別。

質問もでき、インプットできる情報が多々あったことに「参加してよかった」と感じています。

こるきち
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セミナー内では、2社の農家さんとコンタクトし、連絡先を交換させていただきましたが、少々時間が足りなかった点が惜しかったです。

農家さんと面談(圃場見学)の機会をいただいた

セミナー後は連絡先を交換した2社の農家さんと、直接コンタクトを取り、圃場の見学を含めた面談の日程調整を行いました。

現地へ伺う前にしたこと

見学へ伺う前にしたことは以下です。

  • 「履歴書」と「職務経歴書」の準備
  • 伺う農家さんの情報をインプット

「履歴書」と「職務経歴書」は就職活動の際に必要とされていますが、実は農家に伺う際は持参されないケースが多いとか。(面談時に伺った内容です)

見学段階とはいえ、「自分の印象は良く持っていただくに越したことはない」と思い、執筆して見学へ伺いました。

こるきち
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職務経歴書はA4用紙5枚に及びましたが、伺った農家さんからは「こんなに丁寧に!」と好印象をいただけました。

また、その農家さんが運用する発信媒体(SNSやホームページなど)も見漁りました。

内容は多岐にわたりますが、注目したのは以下です。

  • その農家さんの理念(思いや考え)
  • 事業内容(栽培品目や取り組み)

どれだけ口下手な人間であっても、現在やっていることに対しては話せ(掲載でき)ます。(なぜそれをやっているのか?どういう効果を期待しているのか?など)

現地へ行ってみないとわからないことも多いと思いますが、現地に行かずとも取れる情報は取っておいたほうが無難でしょう。

こるきち
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事前に相手の情報を入れておいたことで、実際に話したときの理解が捗りましたし、こちらの姿勢に対しても好印象をいただけました。

現地で伺った内容

わたしの場合は、2社からお話を伺わせていただきましたが、「共通しておっしゃっていたこと」と「それぞれがおっしゃっていたこと」に分けて掲載いたします。

それぞれの農家さんの前提情報は以下です。

A社(法人農家)
・年商は約4億円
・九条ネギを中心に(セグメントの約8割)少品目を大量生産
・農地面積は約20ha(200,000㎡)
・従業員数は約40名
・栽培方法は肥料や農薬を使用する「敢行農法」
・お世話になる形は「労働者」として賃金(報酬)が発生
B社(個人農家)
・年商は約1,000万円
・約60品目を少量生産
・農地面積は約1.5ha(15,000㎡)
・従業員数は約2名+研修生数名
・栽培方法は無肥料&無農薬の「自然農法」
・お世話になる形は「研修生」として賃金なしの形態
2社とも共通しておっしゃっていたこと
・自然相手の仕事が故に苦労した
 (台風でハウスが飛ばされたなど)
・最近の気候変動で従来の方法が効かなくなってきた
 (近年の猛暑対策が必要)
・機械化が進んできたとはいえ、体力仕事であることは変わらない
 (身体が資本であることを強調)
・修得までには時間のかかる仕事である
 (年1回しか作れないモノは10年やっても10回しか経験できない)
・補助金が多い業種のため、有効的に使いたい
 (どうしてもキャッシュアウトが多いビジネスではある)
・販路には困っていない
 (むしろ収穫したいのにできない能力不足に泣いている)

要約すると、自然相手の仕事がゆえに「思考力」が必要であり、人間が動かなければならない仕事でもあるため、「体力」も必要。そのうえで「お金のことも考えなければいけないよ」ということを、おっしゃっていました。

それらを踏まえたうえで、両社の相違見解は以下のようなモノでした。

A社(法人農家)がおっしゃっていたこと
・農地や機械などの基盤が整い、次のステージに向けた投資を検討している
 (GPSを活用した機械の導入も検討している)
・自分ですべて出来ることを前提としたうえで、人に任せる
 (個人に裁量権を与え、責任を持たせて成長を促す)
・働きやすさを意識した取り組みを行いたい
 (かつての「気合と根性」だけの働き方から脱却)
・どんなに早い人間でも独立まで5年はかかる
 (一隻一朝には修得できるモノではない)
・市場のニーズにアタックしていきたい
 (マーケットイン的な志向)
B社(個人農家)がおっしゃっていたこと
・自然農法では売上イコール粗利益の構図になる優位性がある
 (敢行栽培と違って肥料代や農薬代がかからない)
・自然農法で栽培した野菜というブランドを武器にしている
 (単価は高く、価格競争には巻き込まれない優位性がある)
・設備は最小限として、必要なモノかどうかは吟味している
 (そのうえで必要なモノは補助金を活用している)
・設備修繕やハウス建設なども自身の手で行っている
 (自分でやれば費用が抑制できる)
・商品力に自身があるため、出した商品はすべて買い取ってもらえる
 (プロダクトアウト的な志向)

それぞれが対局に位置する意見を持たれており、お話を伺っていておもしろかったです。

こるきち
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まとめると、A社はガンガン投資して需要の多いモノを売って売上伸ばしていこうぜ的なスタイル、B社は可能な限り費用は抑えて小さな市場でもリスクをおさえて堅牢にやっていこう的なスタイルでした。

圃場見学を終えて感じたこと

法人農家でもあるA社は、まず圃場が広大すぎて、どこに何があるのか把握しきれませんでした。

トラクターや専用の設備などが至るところに設置されている他、従業員の利用するスペース(トイレや休憩所)も充実しているなど、組織としての在り方も考慮されているように感じました。

一方、個人農家であるB社のほうは、圃場の規模が小さく、比較的移動距離は少なく済みそうです。

利用するスペースは最低限といった感じで、トイレやスペース的には極普通の農家といった感じでした。

こるきち
こるきち

どちらの農家さんも、「まぁ、まずは長靴履いておいでや」くらいのライトな感じで、親しみやすかった点が印象に残っています。(ありがとうございました)

どの世界においても言えることかもしれませんが、農家の世界もまた「思想」が反映される世界。

何が正解なのか?ではなく、自分がどうしたいのか?何を大切にしたいのか?を導き出すことが農業に携わっていくことなのだと感じました。(どちらの農家さんも非常に面白かったです)

こるきち
こるきち

そんな訳で、どちらの農家さんにもお世話になることを決めました。(決め切れませんでしたw)

実際に働かせていただいた

前述しましたとおり、一旦はどちらの農家さんにもお世話になることにしました。

初日を終えて感じたことを共有いたします。

A社(法人農家)で働いた内容と感想

法人農家でもあるA社は、前述したとおり「九条ネギ」がメインセグメントです。

したがって初日はほぼネギの収穫と出荷準備に終わりました。

初日の流れ
7:00~8:30 ネギ刈り
8:30~12:00 ネギ剥き
12:00~13:00 昼休憩
13:00~16:00 ネギ剥き
16:00~17:00 ゴミ捨て

朝一に「朝礼」をおこない、どこの圃場からどれくらいネギを収穫するのか、収穫に行く人や行かない人の段取りなどを取り決め、それぞれが配置に付きます。

こるきち
こるきち

本業の休日だけ働きにきている方も多く、年上の体格の良いおっちゃんたちからも気前良くいろいろ教えていただけました。

わたしがその日、与えられた役割は「ネギの収穫」と出荷前にネギの不要な部分を剥く「出荷準備」。

ネギの収穫は鎌を使ってスパッと刈り取りますが、熟練作業者の手の速さに驚くことになります。

こるきち
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「いやそのうち鎌で手を切りそう…」少々鈍臭いわたしはそう思いましたw

次に収穫前に「ネギ剥き」という作業をおこなうことに。

エアーと水が噴射される専用の機械にネギを通して、ベルトコンベアに流れます。(ネギの不要な部分がふやけて剥きやすくなって出でくる)

機械の後ろに4~5人が配置について、そのネギを剥いてキレイな状態にしていきます。

これもまた熟練作業者の手の速さに驚きました。

こるきち
こるきち

そのネギ剥き機械は700万円!専用機械の値段の高さにもまた驚きました。

お昼を食べて、夕方までそのネギ剥きを継続。

そしてその剥いたネギカスを夕方に、ゴミ捨て場としている土地へ捨てに行きました。(燃やすわけではなく、枯れるのを待つという手のかからないやり方でした)

こるきち
こるきち

もちろん一日が終わる頃には身体はバッキバキ…ちゃんと洗礼を浴びました。

そして何より辛かったのが、花粉症。

鼻をかむ余裕もなければ、1分間に2~3回はくしゃみが襲いかかります。眼もかゆいし頭も痛くなってくるという絶不調に陥りました。

帰りに社長から「花粉症か?辛そうやなw」と言われる始末。

こるきち
こるきち

農家になる前に「花粉症対策」が必要と感じた次第です。(辛かった…)

花粉症対策としては舌下免疫療法を実施しようと思っています。

舌下免疫療法
対象疾患:スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎など
治療方法:舌の下にアレルゲンエキスまたは錠剤を置き、一定時間保持した後に飲み込む
治療期間:3~5年ほど毎日1回実施
効果:アレルギー症状の改善、または消失
詳しくはこちら

A社で働かせていただいた感想としては以下です。

  • 作業者の手の速さが尋常ではない
  • 兼業農家的な方が多く、農業需要の高さに驚いた
  • 専用機械が充実しており、おもしろかった
  • 作業の合間でお話いただいた御年80歳のお父さんが可愛かったw
  • 少々タバコ臭い(喫煙者は多め)
  • 案の定、腰&足がパンパン(予想どおり体力仕事でした)
  • 眼と鼻が辛すぎる(花粉症の人間には辛すぎる)
こるきち
こるきち

総じて言うと、「時間との戦い」的な一般企業の温度感を感じつつ、身体へ負担がかかることから身体づくりも必要だと感じました。

そしてA社のやっていることは規模感が大きすぎて、全体像を捉えるには時間がかかりそうです。

B社(法人農家)で働いた内容と感想

ネギがメインのA社と打って変わって、B社は少量多品目。

その内容を垣間見ることができました。

初日の流れ
8:00~9:00 面談
9:00~10:00 苗場管理
10:00~12:00 草引き
12:00~13:00 昼休憩
13:00~17:30 草引き

総じて言うと「雑草との戦い」という一日に終わりますw

この日は社長はお休みで、アシスタントの方に対応いただきました。

こるきち
こるきち

朝一の面談や苗場管理では、建設や作業環境などを含めた「個人で農業をするためのアドバイス」もいただき、大変有意義な時間でした。

お話いただいた内容は以下のとおり。

  • 無施肥栽培と言っても育苗には肥料と温度が必要
  • 苗場の温度管理は電熱マット(25度程度に設定)で発芽を促進
  • 水が必要な業態である以上、井戸水が汲み上げられる立地のほうが良い(水道代がバカにならない)
  • ハウスは100㎡あたり100万円くらいかかるが、補助金を使えば半額で建設できる(自作もした)
  • 水をやりに来たい時期に来れないこともある(手が追い付かない)ため、(やるべきことの)全体像を捉えておく必要がある
こるきち
こるきち

B社はポンプを使い、汲み上げられていたことが印象に残っています。「水路設計」もしっかりしないといけないと感じました。

肝心の作業のほうはと言うと、終始「草引き」に徹しました。

具体的には、たまねぎのマルチの間から生えている草を引き抜く作業です。

たまねぎ自体が抜けないように根本を押さえながら、雑草を引き抜きます。

こるきち
こるきち

一日中の草引き作業によって、農薬を使わない”大変さ”を身をもって知ることができました。

膝を付きながら畝の雑草を引き抜く作業に徹した結果、1日で2畝(1畝あたり25m)の雑草除去に成功。

やり切ったあとは、清々しさと良い感じの疲労感を感じたことを覚えています。

こちらも一日を終える頃には、しっかり花粉症の餌食とされておりました。(いや辛かったw)

こるきち
こるきち

ちなみにトイレに関しては小便器は水が流れない、大便器室は鍵がかかっているかわからないといったレトロ感がありましたw

B社で働かせていただいた感想としては以下です。

  • 設備や環境が整っている本業の会社に感謝の気持ちが湧いた
  • ハウスや設備など、農業にかかる初期投資を考えること
  • 農薬の凄さと手動の大変さをまざまざと感じた
  • A社と違い少人数経営のため、より密な関係性が必要
  • 様々な品目(品種)があり、幅広く学ぶことが出来そう
  • 健康への意識が高く、こちらもまた学びになりそう
  • 自然本来との向き合いが重視されており、虫などにも詳しくなれそう
こるきち
こるきち

総じて言うと、近代的な農業ではなく、基礎的なところを学べそうと感じました。スタッフや社長には今後、哲学的なところも伺っていきたいと感じた次第です。

まとめ

わたしが農家を実際に体験するまでにやったことをまとめると以下に収まります。

  1. 自己分析を実施
  2. 農業関係サイトを見漁った
  3. 農林水産業ジョブカフェへ相談に伺った
  4. 就農セミナーへ参加し農家さんとコンタクトを取った
  5. 農家さんと面談(圃場見学)の機会をいただいた
  6. 実際に働かせていただいた
こるきち
こるきち

文章としてまとめると、当たり前のことをしているだけでしたw

しかし、実際に行動するとなると話は変わります。

やるべきことが多くて混乱する方もいるでしょう。

こるきち
こるきち

大事なのは、”農家さんと接点を持つこと”と”自分の考えや思いを伝えられること”です。

迷った際は、各地方に点在する相談所に足を運んでください。(農家さんを紹介してくれたり、イベントの案内をいただけたりするところは、いくらでもあります)

その際に自身の持つ”農業への思い”や”希望・理想”などを語れるよう「自己分析」もしておくと、スムーズな進行ができるでしょう。

こるきち
こるきち

あと花粉症持ちの方は、事前に対策してから農家の門を叩くことをオススメします。(予想以上に辛かったw)

わたしもまだまだこれから学ぶべき点がたくさんありますが、この記事が何かの参考になれば幸いです。

ともに頑張りましょう。

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