「〇〇しようと思っていたけど、やっぱり〇〇しようかな」
こんな経験はないでしょうか?
- 「良い」と思ってやってみたが、上手くいかなさそう…
- 「簡単そう」と思ってやってみたが、めっちゃ難しかった…
- 「良い人かも」と思って付き合ったものの、そうではなかった…

生きていれば、こういったギャップを感じ、方向性を変更する場面も多々あることでしょう。
わたし自身は現在、会社勤めをやめて農家になることを目指している一人の男ですが、実際に農業を経験して、さまざまなギャップを感じ、方向性を再考している段階です。
農家を目指している方はもちろん、知らないことに挑戦している方にとっては何かヒントになるかもしれません。
ご高覧ください。
【当初の状況】会社員として働きながら、2か所の農家で体験

わたしの当初の状況は以下でした。
- 会社員として月~金は本業に勤しむ
- 週末(もしくは有給休暇)に農家さんのもとで労働or研修
- お世話になっている農家さんは2箇所
- 会社を退職後は、研修生として受け入れていただいている農家で2年間研修を受ける予定
いきなり就農することは不可能と考えていたため、京都府のジョブカフェを通じて知り合った農家さんのもとで1か所は「アルバイト」として、もう一か所では「研修生(無賃)」として受け入れていただいていました。
アルバイトのほうの農家さんは人手不足ということもあり、研修というより「労働力」のひとつとして迎え入れられていました。
社長ともお話はしたうえで「本格的に農業をすることになれば、また方針を決めよう」ということで一致しています。
以下は、アルバイトとして受け入れていただいている農家さんで働いて感じたことです↓↓
もう一方の研修生として受け入れていただいている農家さんは、研修生と言うだけあって、丁寧にノウハウを展開していただいていました。
ただし雑務などもあるため、その点に関しては無賃労働として受け入れている状況です。

ちなみに、アルバイトの農家さんは「敢行農法」、研修生の農家さんは「自然農法」という農法の違いもあります。
【当初の計画】会社を退職後は研修先の農家にお世話になる予定

わたし自身は、現在職を失ったとしても数ヶ月先が心配になるような経済状況ではありません。
したがって、しっかり基礎を構築できるような農家さんのもとで研修を行いたいと考えていました。
「研修生」として自然農法の農家さんで2年間修業
指導要領やしっかり学べるといった点で「研修生の農家さん」のほうが、わたしには合っていると考え、退職後は「研修生」として活動をしようとしていました。
- 研修生農家の受け入れ概要
- 研修期間は「2年間」とし、肥料や農薬を使わない「自然農法」を学ぶ。
研修期間は「就農準備資金」という自治体の補助金(年間150万円×2年分)を受給。(資料作りも手伝うとのこと)
就農後も研修先で販路確保に協力(作物の買い取りなど)する。
賃金こそ出ないものの、比較的手厚い内容だったと思います。

「2年間の研修を経て個人農家へ」そんな青写真を描いていました。
就農場所については未定(基本路線は京都)
独立した際の「拠点(就農場所)」については未定で、「農法を学びながら農地を探そう」といったように深くは考えていませんでした。
研修先は京都市ではなく、南丹エリア(少し北部)でしたが、当時はなんとなく「京都市南部でやりたいな」という思いがあった程度です。

農地の取得に対する温度感や知識は、高くありませんでした。
研修先の農家に従事して感じたギャップ

農業に携わるようになってから7ヶ月が経ちましたが、当初のイメージとのギャップを感じる場面も少なくありません。
おもな内容は以下です。
- 研修先は思った以上に散らかっている
- 研修先の「時間」に対する感覚が希薄
- 思ったより「農地」の取得は難しい
研修先は思った以上に散らかっている
研修先は思った以上に散らかっていました。
掃除が行き届いていないのは仕方ないとして、モノがどこにあるのかわからず30分探すなんてことも結構あります。(おそらく散らかっているモノの半分くらいは不要なモノでしょう)

定置管理をすれば、無駄な管理作業もなくなりそうですが、「そんなことをやっている暇はない」とおっしゃっています。(後手後手ですねw)
また小屋の移転をするために、近くに新しい小屋を借りたとも伺いましたが、その準備は進んでいません。
ここ1年まったく暇がなく、移動準備ができなかったらしいですが、「1年分の家賃もったいねぇ~」というのが、わたしの本音でしょうか。
- 実行力を含む計画性の無さ
- 片付けや整理ができない
といったところに、「今後、自分も振り回されそうだな…」と少々不安を感じました。

案の定、農作業に関しても「毎年、計画より遅れ気味だ」とおっしゃっています…
効率の良い職場というのは、”計画”も”モノ”も整理整頓がされています。

計画や整理を後回しにされている点は、研修先として少し割り引いて考える必要がありそうだと感じました。
研修先の「時間」に対する感覚が希薄
自分でやればタダ。
このような感覚を持っている方は多いように感じます。
わたしも過去はそうでしたし、研修先も同じような考えをお持ちでした。

たとえば農業だと、配送費を節約するために「自分で配達する」という農家さんが多くおられます。
確かに配送費はかかりません。
しかし、そこには自身の「時間」が消費されています。
プロの配達員のように荷物の量も多いわけではありません。
したがって「少量の荷物のためにプロでもない自分が動く」という非合理な行動になります。
研修先の農家さんも、週に3回、毎回半日以上かけて配達されています。
- 自身は何のプロなのか?
- 自身の時間単価はいくらなのか?
- 自身は何に時間を使うべきなのか?
こういったことは商売をする以上、常に考えておくべきでしょう。

プロは効率的(合理的)にできるから「プロ」なのです。
「忙しい、忙しい、」と言っている農家さんが多いのも、こういった背景からかもしれません。
任せるべきところは任せて、自分のやるべきことに集中したいモノです。

自分の時間は「タダ」ではないのだから。
ちなみに、お世話になっている農家さんは「優しく」「真面目」に農業をされており、とても尊敬しています。
あくまでも自身との「価値観」や「考え方」に相違があるだけということは申し添えておきます。
思ったより「農地」の取得は難しい
わたしが方向性を考え直す一番のキッカケはコレ。
新参者にとって、「農地取得」が難しい点にあります。
これは研修先の農家さんに限らず、アルバイトとしてお世話になっている農家さんでもそうですが、基本的に農地は信用のある農家さんに集約されていきます。
- 今年農業を始める元気な若者
- 10年以上この村で農業をしている老人
地主さんはどちらに農地を貸したいか?というと、間違いなく後者(②)でしょう。
自分の土地を「雑草畑」にされては困りますし、どうせなら有効活用してもらいたいからです。

信用のある方とそうでない方には「借地料」にも差があるとも聞きました。
「信用」を構築するためには、やはり前もってその農村文化に触れておく必要があるでしょう。
- 身分を示したうえで
- 農村のために働き
- 実績を積み上げる
地道な活動になりますが、何も持たない新参者にとってはこれしかありません。

農業に限ったことではありませんが、信用を構築するのに「時間」はある程度かかります。
就農予定地以外で修業をすると、信用構築の時間は「別」で確保しないといけません。
つまり、どんどん就農する時期が「後ろ倒し」になる可能性があるということです。
今後の方向性

少し話は変わりますが、わたしの妻は三重県出身です。
子どもを授かりたいとの話も受けているため、いずれは三重県寄りへの移住を考えています。
しかし現在は京都市に在住しており、妻の職場も京都市のため、三重県などの東海エリアで就農研修を受けるのは現実的ではありません。(最低でも通勤に2時間半かかるため)
したがって現在の居住地からでも通うことができ、三重県にも隣接してる「滋賀県エリア」で研修機関を探してみることにしました。(滋賀県なら三重県には1時間ちょっとで行けるので)
すでに、滋賀県の「農業基金」や「市役所」を通して、研修先の案内もいただいています。
滋賀県の研修先では、栽培ノウハウに限らず、「農地取得」や「農業インフラ」「農村文化」といったところも伺いながら戦略を練っていこうと考えています。
また今回の件は、事前の調査不足で起こった出来事のため、今後は滋賀県の調査を行いつつ、様々な農家さんのもとへ出向き、現場を見たりお話を伺ってきたりしようとも思いました。

10か所を目処に、京都や滋賀以外のもとにも出張しようと考えています。
現在勤めている会社はすでに「有休消化」をし始めているため、物理的な行動制限はありません。
現状、先行きは明るくありませんが、しっかり自身の足で情報を稼いでこようと思います。
やはり知らない世界での決め打ちは誤算を生じますね。
何か事を起こす場合は、「情報収集の期間」と割り切った行動が必要なかもしれません。
