【農業見学記録】三重県御浜町でマイヤーレモンを栽培する「たかみ農園」さんへ見学に伺った概要と所感

【農業見学記録】三重県御浜町でマイヤーレモンを栽培する「たかみ農園」さんへ見学に伺った概要と所感

この記事は、15年働いた企業を退職し就農することを決めた1人の会社員が、三重県最南端に位置する”御浜町”で「マイヤーレモン」を栽培する「たかみ農園」さんのもとへ見学に伺った一部始終所感を書き下ろした記事です。

わたし自身は現在、京都で「工業」に従事するなど、文字通り「畑違い」の仕事をしています。

農家に対する「ツテ」もなければ、まともな「農業経験」もありません。

そんな「農業ど素人」が先輩農家さんから、情報やノウハウを得るべく見学させていただいた内容をフル公開しました。

こるきち
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三重県での就農、もしくはマイヤーレモンなどの果樹栽培に興味のある方はもちろん、働き方を考えている方にとっても「学び」があると思います。ご高覧ください。

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今回お世話になった「田中高美」さんについて

田中高美さん

今回お世話になったのは、たかみ農園の事業主でもある「田中高美」さん。

御年45歳(2025年10月現在)で、もともとは兵庫県にお住まいだったそうです。

結婚を機に御浜町へ引っ越し、同時に奥さんのお父さんから農家を継承されました。

こるきち
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以前は「とび職」をされていたそうで、就農してちょうど10年になるそうです。

今でこそ「マイヤーレモン」は御浜町のシンボルとなりつつありますが、就農当時はマイヤーレモンの認知はなく、周囲の多くが「みかん」を栽培されていたと伺いました。

お父さんから引き継いだ農地にも「みかんの木」が並んでいたそうですが、「人と同じことをするのはつまらない」と、「レモンの木」に植え替えたそうです。

こるきち
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10年間で御浜町を「みかんの産地」から「マイヤーレモンの町」へと改革されました。

広報に対する温度感も高くメディアへの出演も多いため、影響力の高い方という印象も受けました。

御浜町公式ページでの「たかみ農園」取材記事はこちら

プリンタイムでの「たかみ農園」取材記事はこちら

こるきち
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ちなみにわたし自身は、高美さんの友人(わたしの職場の先輩でもある方)を介して、コンタクトを取らせていただきました。

高美さんは学生時代に野球をされていたそうですが、高美さんの友人の話を伺う限り、「セミプロ(社会人野球)」でも通用する選手になるポテンシャルを秘めていたそうです。

「やる時は徹底的にやる」という勇ましさや勝負勘は、学生時代からあったモノなのでしょう。

御浜町の土地柄

御浜町

三重県の最南端に位置する御浜町。

わたし自身も人生で初めて訪れる町で、わが家からは車でおおよそ3時間半ほどかかりました。

訪れたのは10月初旬で、和歌山との県境が目の前にあるということもあり、非常に温暖な地域でした。

こるきち
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特に目を引いたのが、海岸沿いの国道。

「絶景」とも呼べる青い海がすぐ見渡せる道路が南方面へ続いており、わたしも思わず写真を撮ることに。

御浜町

国道沿いの至るところに「みかんの無人販売所」があるなど、一目みただけで「みかんの町」であることが伝わります。

圃場こそ山の中でしたが、たかみ農園の工場もその国道沿いにありました。

たかみ農園の農業スタイル

たかみ農園の圃場風景

たかみ農園は以下のようなスタイルで運営されています。

たかみ農園のスタイル
・メンバーは奥さんと研修生数名
・圃場規模は約3ha(30,000㎡)
・マイヤーレモン栽培が約9割を占める
・みかん、ライム、フィンガーライム、アボカドも少量栽培中
・農閑期と農繁期の色分けをクッキリ行う
・「缶チューハイ」など6次産業化も進行中
こるきち
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ひとつずつ概要について触れていきますね。

メンバーは奥さんと研修生数名で構成

たかみ農園は現在、奥様と(就農予定または就農直後の)研修生数名で運営されています。

わたしが見学に伺った時は、朝に研修生2名が収穫をされており、昼からは建屋に移動して出荷準備をされました。(出荷準備時に奥さんも合流されました。)

こるきち
こるきち

この人数で捌けるのか?という疑問はありましたが、おそらくそれぞれが高速回転で動かれるのでしょう。

約3haの圃場でマイヤーレモンを中心に果樹栽培を展開

たかみ農園の圃場周辺

圃場規模は約1haの土地を3つお持ちでした。

こるきち
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徐々に規模を拡大しているそうで、最近約1haの”一等地”を購入したと伺いました。

いずれも山を切り開いた形の農地で、緩やかながらも斜度があります。

3haの圃場のうち、マイヤーレモンが占める割合は約9割。

他にも以下のような作物が栽培されていました。

  • ライム
  • ブラッドオレンジ
  • アボカド
  • フィンガーライム

大衆品目ではなく、「希少品目」に着目

たかみ農園のアボカド

たかみ農園では基本的に、どこでも販売されているような品目や品種ではなく、「希少価値」の高い作物に取り組まれています。

マイヤーレモンもライムも国産品が少なく、商社やバイヤーからの引き合いが強いため、自分で価格設定ができる優位性があると伺いました。

こるきち
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サブ品目の中で目を引いたのは「アボカド」と「フィンガーライム」。

まずアボカドに関しては、「日本で(しかも三重県で)栽培することができるのか」と衝撃を受けました。

木は2本が隣り合う形で植えてあり、1本は実がたくさん成っており、もう1本は実が成っていませんでした。

たかみさん
たかみさん

アボカドはまだまだ勉強不足やから、何で成ってないのかサッパリわからんのや~

と笑顔でおっしゃっていた高美さんの姿が印象に残っています。

たかみ農園のフィンガーライム

またフィンガーライムについては、わたし自身も勉強不足だったため存じ上げていませんでしたが、非常にポテンシャルの高い作物でした。

高級すし店などで、つくりの盛り合わせなどのうえにパラパラとまぶされているモノだそうで、特筆すべきはその単価。

こるきち
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高い品種なら1本1,000円で販売できるそうです(驚)

フィンガーライムのイメージ図

「個人はニッチなジャンルで戦うべき」というランチェスター戦略を地で行っているのが「たかみ農園」といったところでしょうか。

戦略といい考え方といい、非常に勉強になりました。

(以下2冊は、ともにわたしがオススメする良書です↓↓)

農繫期と農閑期の差をクッキリ色分けするスタイル

海

マイヤーレモンは9月から翌年の3月にかけて収穫を行います。

すなわち、たかみ農園の農繁期(繁忙期)は9月から翌年の3月に集中するということです。

逆に4~8月の間は、薬散布や草管理などで月に5~6回程度だけ畑に行く程度。

夏場は趣味のサーフィンを楽しんでいるそうです。

こるきち
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「死ぬほど働いて、アホみたいに遊ぶのが自分のスタイル」ともおっしゃっていました。

6次産業化も進めており、レモンチューハイなども販売

たかみ農園の缶チューハイ

たかみ農園の活動で一番驚いたのが、6次産業化を積極的に進められていた点です。

以下のように積極的にマイヤーレモンを使用した加工食品を開発し、販売されています。

たかみ農園の6次産業化製品
・レモンチューハイ(万代コラボ)
・まぁるいレモンのマドレーヌ
・マイヤーレモンケーキ
・マイヤーレモン100%果汁(食卓用150ml)
詳しくはこちら

いずれも提携先に委託して製品化されていますが、「どうすれば売れるのか」「どうすれば認知を取れるのか」といったことを常に考え、行動されているように感じました。

多くの農家は農作物を作って販売するので精一杯のなか、たかみ農園の”凄み”が垣間見えた瞬間でもありました。

こるきち
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ちなみにレモンチューハイは「スーパー万代」にて限定販売されているそうです。

高美さんより頂戴したアドバイス

たかみ農園のマイヤーレモン

現場を見るだけでもかなりの情報量や学びがあったわけですが、いろいろ貴重なお話もいただけました。

お話の中から「学び」になった内容や「アドバイス」を紹介いたします。

農地は借りることが必ずしも良い選択になるとは限らない

これまでわたし自身は、農地を取得するなら購入ではなく「レンタル」することを想定していました。

理由は以下です↓↓

土地を「レンタル」しようと考えていた理由
・レンタル費用はすべて「経費」になる
 (キャッシュアウトが節税に繋がる)
・購入費用は「経費」にならない
 (キャッシュアウトしているのに払う税金は減らない)
こるきち
こるきち

簡単に言うと、購入すると「資金繰り(キャッシュフロー)」が悪くなるからです。

しかし、高美さんはあえて「購入」を選択するケースも多いそうです。

何故かというと、

  • 相場を逸脱した取引になるケースもある
  • レンタル後に所有権を発動されたら引き下がるしかない

といったことを挙げられていました。

相場を逸脱した取引になるケースもある

たとえば地主さんと300万円で売買契約を結んだとします。

翌日の査定で600万円と値付けされたとしたら、働かずして300万円の儲けが出ることになります。

実はこういった取引は多いそうで、プロの査定が入ることは多くはありません。

こるきち
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たかみ農園でも「日当たり悪いから50万円負けて」といったような駆け引きもされるそうです。

農地を手放したい人も多く、相場を逸脱した取引があるのが「購入するメリット」なのだとおっしゃっていました。

レンタル後に所有権を発動されたら引き下がるしかない

逆にレンタルしたケースについて、悪い例も教えていただけました。

たとえば10年間のレンタル契約を結んで、その土地に対して高額な設備や資材に投資するとしましょう。

しかしその土地に「建造物」や「高速道路」が建設されることになり、地主から2年で返却を迫られたとします。

この場合、立ち退かないといけません。(そういったケースを見たこともあるそうです。)

こるきち
こるきち

長期で借りるつもりでも、所有権が優先され「不利」になる場面が多々あるということです。

そういった投資回収もできないまま、手放してしまう可能性があるのもレンタルの怖さであるという認識もできました。

別品目を栽培している農家のもとへ行くことも大切

飛行機

わたし自身は、自営農業をしようとしていますが「具体的な品目」を決めているわけではありません。

そんなわたしに対して高美さんは、こうアドバイスをくださりました。

たかみさん
たかみさん

たとえ品目が決まったとしても、うちを訪ねてきたように足を使って別品目を栽培する農家のもとへ行くことも大切だ。

たかみさん
たかみさん

なんなら、別の事業をしている人のもとへ話を聞きに行くこともしたほうが良い。考え方が柔軟になり、情報も得やすくなるから。

農業ど素人のわたしにとっては、背中を押していただけるような内容でしたし、実際に経験された方の言葉がゆえの「説得力」もありました。

こるきち
こるきち

ちなみに高美さんは、ゴルフもされるそうです。

「ビジネスパーソンを築くうえでのツールになるから」ともおっしゃっていました。

「接待でワザと負けたりはせーへんで!プレイは本気や」とおっしゃっていたことも印象に残っています。

地域ごとの活用できる制度をリサーチせよ

農業に対する力の入れ具合は自治体によって異なります。

したがって自治体によっては、「有利になる制度」があるかもしれません。

そういった制度や補助金情報もリサーチしておくことも勧められまた。

こるきち
こるきち

たとえば御浜町では、マイヤーレモンの木に植え替えたら1haあたり450万円の園転補助金が出るそうです。

園転(えんてん)
作物を入れ替えること(園を転換すること)を指す。

70万円で取得した土地を園転して450万円の補助金を貰ったツワモノもいるそうです。(いや何も栽培してないのに収支プラスやんw)

希少な品目に取り組むこと

たかみ農園のフィンガーライム

上述したとおり、たかみ農園は希少品目に取り組まれて成果を上げられた園です。

2番煎じになると、バイヤーに価格を決められがちになるでしょう。

「自分で価格決定権を持つためにも、希少な品目にチャレンジすることが重要」としたうえで、以下のようなこともおっしゃっていました。

たかみさん
たかみさん

特に果樹は植えてすぐに実が成るモノではないから、前もって投資する癖が必要やで。

いましめの言葉として、覚えておこうと感じた次第です。

作業の外部化(費用捻出)を惜しまないこと

たかみ農園の薬散布機

たかみ農園は栽培こそ自分たちで行われていますが、事務作業や袋詰め・シール貼りのような時間単価の低い作業は、取引先(センター)のパートに任せるなど、外部に委託されていました。

  • 自分の時間はタダじゃない
  • 1人でできることなんて知れてる

といったこともおっしゃっており、機械化することに対しても惜しみなく投資されていました。

たかみさん
たかみさん

薬散布に4時間かかっていたけど、この機械を入れたら15分で完了できるようになった。うん百万円したけどすぐに回収できるし、そんな都合の良いモノにはちゃんと投資するべき。夏場のクソ暑い時期に4時間は死んでまうしなw

圃場が3haもあるため、調性や出荷準備を含めた作業量は相当なモノになるでしょう。

それでも少人数で成り立っているのは、機械を含む外部への委託に対する投資をおこなっておられるからであり、わたし自身も大変勉強になりました。

たかみ農園を見学し終えて感じたこと

たかみ農園のライム

わたし自身はすでに、4件の農家さんのもとでお世話になっており、他にも3件お話を伺いにも出向きました。

その中でもっとも印象に残っているのが「たかみ農園」です。

マイヤーレモンを地域の特産品にまで押し上げた「胆力」はもちろん、先行投資を怠らない「姿勢」や勝負所で仕掛けられる「勝負勘」の鋭さは、わたしのような農業素人から見ても凄まじいモノがありました。

またたかみ農園の公式ページやInstagramを見れば、マイヤーレモンの「魅力」自身の「活動」または「想い」がしっかり記されているなど、広報活動にも余念がありません。(「商品が売れない」と嘆いている農家さんは、参考にしてほしいくらいです。)

「夏場はアホみたいに遊んで冬場は死ぬほど働く」といった言葉に代表されるように、人生を楽しんでいる感もまた高美さんの魅力を助長しているように感じました。

こるきち
こるきち

良い兄貴的な方で、家から近い農園であれば、お世話になっていただろうなとも感じています。

まとめ

御浜町

わたし自身は「野菜」での就農を考えていたため、高美さんには正直、顔だけでも覚えていただければ御の字と考えていました。

しかし実際に伺ってみてたくさんの「刺激」と「学び」をいただきました。

たかみ農園の特徴
・マイヤーレモンを特産品にした胆力
・希少品目にチャレンジしている
・常に投資志向(設備・委託・新品目など)
・様々な人との関係構築に余念がない
・息を吐くように6次産業化も進めている
・夏場と冬場の働き方に「緩急」がある

「活気のあるのベンチャー社長」といった空気感をまとっておられて、お話を伺っていても常に前向き。

ご本人はもちろん奥様も研修生も楽しそうでしたし、おそらくこれからもっと人も集まり拡大されていくでしょう。

わたし自身も、高美さんのように挑戦や投資をする「姿勢」を忘れずに行動し、それを見せていく「活動」も徹底していきたいと感じました。

ロールモデルとなるような方に出会えたことに感謝するとともに、「もっと行動の回転数を上げていかなければ」と危機感も感じています。

こるきち
こるきち

やはり人に会うことは大事ですね。

帰り際に「時間あるならうち来て働いて!バイト代も出すし」とおっしゃっていただきましたので、また活動報告を兼ねて伺おうと考えています。

ちなみに「たかみ農園」さんは、「研修生」や「アルバイト」も募集されています。(※2025年10月情報なので募集が打ち切られている可能性もあります。)

  • 果樹栽培を生業にしたい
  • マイヤーレモンに興味がある
  • いずれ独立就農したい

といった方はもちろんですが、

  • 働き方に悩んでいる
  • 人生にメリハリを付けたい
  • 仕事ができる人間になりたい
  • 良い兄貴分のもとで働きたい

といった方にもオススメの働き先(または研修先)となるでしょう。

御浜町だけではなく、全国にその名が轟くのではないだろうか?

そんな期待感を抱きたくなる魅力たっぷりの農園でした。

たかみ農園の公式ページはこちら

たかみ農園のInstagramはこちら

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